ct21-1 「自然と政治」を巡る経験的な理解
(当初作成日:2003年02月01日)
下記は個人的な経験ですが、社会学を巡る「階級格差」を捉えるに際して参考になるかと思います。私は1990−92に世界銀行主導になるバングラデシュ国洪水対策事業(Flood Action Plan)の事後評価調査団(FAP12/13)に参加しました。団長は30歳のオックスフォード大卒のドクターでした。あるとき私は彼に質問しました。ところで団長は何が専門ですか?つまり何学部を卒業したのですかと。彼答えていわく "Geography and Planning" です。そのとき私は怪訝に感じました、なぜなら学部を聞いているのに専攻を答えたからです。気になったので図書館で調べたら "Geography and Planning"は何とれっきとした学部の名称でした。
その後も続いた彼との会話を通して「大英帝国が全世界の覇者になった道理」を掴むことが出来ました。 "Geography and Planning" とは日本語に訳すれば「地勢条件に基づく社会計画」となります。「帝王学」の内実は「自然条件に対応した統治体制を造り上げる知見」だったのです。つまり「自然法とは自然の摂理に準拠した規範」を指すのだと。それは外側からは「帝国主義」「民族差別」「階級格差」「搾取」・・・に見えます。e40文明史年表に明らかなようにイギリス社会は時系列的に教会→大学→統治体制と展開しています。日本ではそれが逆になって「近代化」いわゆるcatch-up process が目的になっています。現代日本社会の戸惑いはこの次なる国家目標を設定できない点にあります。日本経済の低迷、同時多発テロ、対イラク対応、対北朝鮮対応なども上記の文脈から読み解けると考えます。
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