電脳経済学v3> f用語集> ai1 意志  (will)(→意思:intention) 2000年09月03日作成

<1>物事を成し遂げようとする積極的な意図。
<2>理性による選択を決心して実行する能力。
<3>これら動機を担う主体の制御された心的機能。

[説明]
「意志」が物事を成し遂げようとする志向性の意識を指すのに対し、「意思」は意志よりも広い範囲を対象として思考や願望の意味で用いられる。自らの責任において決定する意志を自由意志と呼び、これがどこから何故現れるのかがしばしば問われる。神の意志を受けてとする説明は古くから行われているが、これは神と人間の置き換えに過ぎず、神の定義という新たな問題が発生する。

理性に由来する心的能力を意志と称し、本能に由来する心的能力を欲望と呼び、両者を併せて意欲ということもある。一方、意欲を広義の意志に含める考え方、さらには意志を広義の欲望に含める考え方もある。心理学ではこれらを欲求あるいは要求と呼び、これらが衝動や動機から発生するとする。これらは、いづれも循環論法ないし同義反復に陥っているので、次に示す意識からの位置付けの方が適切であろう。

意識作用は知識・感情・意志(いわゆる知情意)の相互関係から発生する。知識に方法論を感情に目的論を対応させるとき、意志は両者の統合結果の外部化と考えられる。この意味において意志には自発性とともに計画性が、とりわけ目的に沿う方向性が要請される。これを比喩的に述べれば、船の舵あるいは車のハンドルさばきが連想される。さらに、意志の実現は動機、決定、構想、実行の行程を踏む。

何かをしたい何かになりたい気持ちが、どこからどうして現れるのか。これらは制御されるべきか、自然状態のままに置かれるべきか。制御するならばその基準を何に求めるか。一方、自然状態とは具体的に何を指すのか。これらについては誰にもよく分からない。時代状況としては、理性主義つまり科学技術文明が行き詰まり、次なるポストモダニズムと呼ばれる地球規模での多様な価値観が認められ始めた段階といえる。それは絶対者との置き換えでもなく人間中心主義でもない、生命原理のあり方を巡る模索過程である。人間の自由意志が地球生命体を代表し、かつそれに対して責任を担えるかどうかが問われている。