電脳経済学v3> f用語集> se 摂動論 (perturbation theory) (当初作成日:2006年10月20日)
<1>数学的に厳密に解くことのできない問題の近似解を求める手法の1つ。(数学用語)(Wikipedia)
<2>方程式の近似解法の一。比較的簡単に解ける部分とそれに対する補正部分とに分け、逐次近似で補正項を求める。複雑な物理系の運動を近似的に解く際に広く用いられる。(広辞苑)
<3>ある天体の運動が他の天体から受ける引力によって乱れること。(古典力学)
<4>粒子の運動が複数粒子の間に働く相互作用により乱れること。(量子力学)
<5>転じて摂動現象をもたらす副次的な力のことを摂動と呼ぶ。
<6>モデルが与えられたとき、その近似解を得るための方法。(一般用語)
[説明]
翻訳文化の悲しさで「摂動論」という用語の響きにびびってしまうが、英語の方が分かりやすい。perは「〜によって」を表す接頭語で、turbationはturbulenceと語幹を同じくし「乱れ」を意味する。航空機の機内放送で「気流の乱れによって機体が揺れるけど航空機の航行自体に支障はない」旨のアナウンスがある。これが上記<3>に相当する。
天体の運行において太陽と地球などを扱う二体問題は厳密に解くことができる。しかし実際は他の天体からの引力による相互作用があり多体問題となる。この場合に、他の天体からの影響は補正項として考慮することによって十分精度の高い近似解を得ることができる。同様の手法が潮汐現象や非線形問題などの実用解を求める際に行われる。主要項と補正項あるいは1次近似と2次近似以降の関係は必要な精度によって定まる。多数決による決定などの民主的な手続きもこの種の妥協と言える。