このたびは電脳経済学のホームページ(HP)をご訪問いただき厚くお礼申し上げます。 電脳経済学もお陰様をもちまして5年目を迎えることが出来ました。この間に寄せられたご支援並びにご協力に対してこの機会に深く謝意を表します。とりわけ建設的なコメントや有益なご指摘をいただいた各位には心から感謝申し上げるとともに今後ともかわらぬご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。(para1)
21世紀を迎えて世界はいま分野を問わず激動と変革のまっただなかにあります。このことについて私なりの体験的な所見の一端を申し述べたいと思います。私はいま10年ぶりにバングラデシュの首都ダッカにもどってきて当地のゲストハウスに滞在しています。ここからNHKのTVをかけながら持参したノートパソコンを通してこのHPをアップデートしていますけど、このような状況は10年前にはおよそ想像も出来ませんでした。この間にタイ-インドネシア-カザフスタン-エジプト-ラオスにおいて国際協力の業務に従事してきましたけど、世界の状況が時々刻々進展してゆくさまを肌で感じてきました。(para2)
電脳経済学が、書斎で文献から組み立てられた観念の産物ではなく、世界各国の指導的な立場の人々との直接対話ないし共通体験を抽出した成果である事実をまずお含みいただきたいと存じます。前記の諸国の中には社会主義体制によった国も多いのですが、地球社会を巡る現在の状況は戦後における冷戦枠組みの解消過程にあると考えられます。しかし問題は、社会主義に代わる次なる目標が示されていない点にあります。それはしばしばポストモダニズムと呼ばれますが説得性ある実体をともないません。反近代とか多様性の承認の域にとどまっています。それゆえに各国各様に思想的な空白地帯のなかで海図なき航海を余儀なくされています。それは企業レベルでも個人レベルでもまったく同様です。(para3)
世界平和、人類愛、地球にやさしい環境さらには持続的発展といった標語的な目標は溢れています。しかし、これらはたんなるスローガンであって私たちに直接的な行動指針を与える性格のものではありません。このことを思うとき「経済」こそが自分に正直に行動できる普遍性を備えた拠り所といえそうです。経済学の父とされるアダム・スミスはいみじくも指摘しました。『各自が利己的に振舞ってよい、それが社会全体の利益に結びついて行くのだ』と。経済に関心を持つ人はそれぞれの立場に応じて、この「見えざる手」の仕組みを解明しかつ制度をその方向で整備すべきであります。(para4)
私たちはなぜ地球を覆う混迷状態からいまだに抜け出せないのでしょうか?それは本来自律的かつ自立的な経済が、政治に依存し服従しているからです。そのような社会では政経スポイルシステムが支配的になり、当然の結果としてその社会は早晩行き詰まります。では、経済はなぜ政治に依存するのでしょうか?その原因は経済学の理論的不備にあります。 理論的欠落部分を政治で補完しているのです。つまり、経済学が経済現象の全体像を描ききれていないのです。地球環境問題あるいは格差問題として、いまこの点が鋭く衝かれています。環境問題とは経済外部性の問題にほかなりませんが、自然科学の知見を援用すればその理論的解明は意外にも容易であります。結論を申しますと、この外部性を経済系に内部化すればよいのです。(para5)
図ha1-1 に示すように、廃物に含まれる不用成分は分解過程を経て廃熱となり最終的に宇宙空間に放出されます。この一連の不用物(無用性)をエントロピーと呼びますが、このエントロピーの処理過程に滞りが生じた状態が環境問題にほかなりません。電脳経済学の発想は、伝統的な経済学をこのエントロピー処理過程に結合させる点にあります。ここで注意を要する点は、デスティネーションはエントロピー処理過程であり伝統的な経済学はソースとしての位置づけが与えられます。この経済現象の全体像について電脳経済学では代謝モデルとして具体的に提示しています。これは伝統的な経済学の立場から見れば経済領域の拡張要請と呼ぶことが出来ます。(para6)
ながいごあいさつになりましたが、電脳経済学の記述や主張はあくまで個人としての見解に過ぎません。ありうる独断や誤謬については、読者各位のご賢察をもって補っていただくようお願い申し上げます。幸いにも私は雇用制度上の所定年数を過ぎて自由な立場にあります。電脳経済学のHPを開設している目的は、未来を担うべき同学の士へ向けた参考情報の提供にあります。私自身は灌漑技術者あるいは水理アナリストとして、水部門から電脳経済学への取り付け部分を巡る仕上げ作業が残されていると理解しています。電脳経済学につきましては、光栄にもサーチエンジン各社でのヒット数上位ランキング並びに多くのサイトでのご紹介やリンクをいただき身が引き締まる思いです。微力ながら 今後とも読者各位のお役に立つよう情報発信につとめる所存でありますので、さらなるご支援をお願い申し上げます。(para7)
2001年6月25日 HP開設4周年に際して
ダッカにて 光延 昂毅