電脳経済学v3> f用語集> ae1 エネルギー (energy)  2000年09月13日作成:2000年10月20日一部修正

<1> 日常的な感覚からは活力や精力を指す。
<2> 物理用語としては、ある系のもつ「仕事」をなし得る能力の総称。
<3> ここに仕事(W)は、力の大きさ(F)と距離(S)の積として与えられる。(厳密にはW=F・Scosθとなりθは力の方向と距離の方向のなす角度で両者が同方向ならcosθ=1となる。)例えば2トンの荷物を1km運ぶ仕事と1トンの荷物を2km運ぶ仕事は等しい。

[説明]
(1)エネルギー形態には、力学エネルギー(運動エネルギー、位置エネルギー、弾性エネルギー)、熱エネルギー、電気エネルギー、光エネルギー、化学エネルギー、原子核エネルギー、生物エネルギーなどがある。これをエネルギーの種類という。
(2)エネルギー形態は相互に変換可能であり、変換の前後においてエネルギーの総量は変わらない。エネルギーが不生不滅であるこの性質を「エネルギー保存則」という。物理学の基本法則としての保存則には、このほかに物質保存の法則並びに熱力学第1法則がある。これらはいずれもエネルギーや物質が姿形を変えながらこの世界を巡っていて、新たに創りだすことも消えてなくなることもないという経験的な事実を告げている。
(3)自然界に存在するエネルギーのなかで産業活動や日常生活に「利用しやすい形態のエネルギー」はエネルギー資源と呼ばれ、水力、風力、潮汐(力学エネルギー)、石炭、石油、天然ガス(化学エネルギー)、地熱、太陽光(熱エネルギー)、ウラン(原子核エネルギー)、薪炭、わら、植物油、動物油(生物エネルギー、バイオマスともいう。)などがある。植物により合成され動物により食べられる炭水化物も太陽光を固定した生物エネルギーの一種である。
(4)一方、利用しにくい形態のエネルギーとしては地震、雷、火事、火山、台風、波動、潮流などがある。これらは主として力学エネルギーからなり場所的には集中しているが人間意志による制御は困難である。
(5)さらに、利用しにくい形態のエネルギーとしては地表、地下、海水、大気の中に存在する膨大な量の熱エネルギーを挙げることができる。しかしこれらの分布状態が、場所的にあまりにも広くかつ密度的にも薄いために有効に取り出すことができない。したがって現実には利用できない。
(6)このようなエネルギーの変換過程と分布状況を注意深く観察すると、エネルギーの流れに「方向性」を認めることができる。このエネルギーの流れは、降水が山地部から平野部への経路をたどって流下し、役割を果たした流水はついには海に注ぐさまに類似している。つまりエネルギーの流れとは「エネルギー劣化」(低級化ともいう。)の過程にほかならない。
(7)このようにエネルギーは質の良い状態から質の悪い状態へと移行して行く。エネルギー劣化とは、先に述べたエネルギーの利用しにくさの進行程度を指す。このことは有効エネルギーがだんだん無効エネルギーに転じて行くともいえる。
(8)通常エネルギーと呼ぶ場合は有効エネルギーを意味し、無効エネルギーに対してはエントロピーの用語が当てられる。これは宗教人が死の視点から生を論じ、医師が病気を通して人を診るさまに例えることが出来る。