電脳経済学v8> f用語集> lit リテラシー (Literacy) (v8) (当初作成: 2016/11/09)
1.はじめに:
(1)リテラシーの語意を調べた。これはLetter(文字)の派生語とされ、文盲(Illiteracy)の反対語故に「識字」が原義となる。識字とは「読み書き」を指す。往時の明治政府は「富国強兵」の前提として「読み書き算盤」から国民の啓蒙を始めた。時代文脈に照らして今時のリテラシーについて考える。
(2)リテラシーの用語法は、情報リテラシーやコンピュータ・リテラシーのように対象を明示する場合が多い。つまり「その分野における記述体系を理解・整理・活用する能力」を指す。様々な形で類推的・拡張的に用いられ、むしろこの含意(implication)に力点が置かれる。
(3)改めて確認すれば古典的な「識字」ではなく、現代的な「リテラシー」について取敢えず次の整理を試みた。
2.説明/考察:
(1)ニューメラシー(Numeracy): Literacyに対応して、数学的リテラシーを意味する。基礎的計算能力や理数系の基礎知識を意味する。この数量的思考能力とは前記1.(1)に示す「算盤」に相当する。会計、経済、地理、政治、言語、芸術などあらゆる分野で数量化、計量化、可視化が進行し、数学は苦手では通らない時代を迎えている。その昔ピタゴラスが「万物は数である」と言った文脈は、qut量子論やbdt身体論に触れている。
(2)
ヒューリスティックス
(Heuristics): 教育・数学・論理の用語で(自己)発見的なを意味する。一定の規則に従うのではなく自分自身で可能性を探って問題解決に至る。試行錯誤による動的接近法。例えばSNSなどでマニュアルを読んでいたら間に合わない。何故ならその時はもう次のVersionが出ているから。上記(1)と(2)は相互関係にあり教育や心理分野の用語。
(3)
アブダクション(Abduction):
個別の事象を最も適切に説明しうる仮説を導出する論理的推論。仮説形成、仮説的推論、発想推論、アブダクティヴ推論、最良説明推論、リトロダクションなどと訳されている。要するに、演繹(deduction)でも帰納 (induction)でもない第三の論理的推論形式を指す。 哲学やコンピューターの分野で近年定義づけされ、計画の立案、失敗の原因究明、プログラムエラーの発見など従来の手法では時間的に間に合わない場合に援用される。心理学では前記(2)の用語も使われる。緊急手術、海難救助、災害など非常時の危機管理に絡む概念である。
3.結 論:
リテラシーはqut量子論やAIと通底する。短く言えば霊感(Inspiration)で、諄く言えば時間・空間・主体(責任)などの古典的な意識障壁を透過して発生現場から瞬時に遡及する問題解決能力を指す。