電脳経済学v8> f用語集> own 所有(Ownership; possession; holding; proprietorship; dominion)
(当初作成:2019/01/02) (一部追加2.(5):2019/03/30)

1.梗 概:
(1)所有には所有権と所有格の意味があり、両者がマクロとミクロの関係をなす。この関係についてはd&j法と正義で示した通りです。これが本ページの論点であり且つ結論です。
(2)先ず、所有権は物を全面的に支配(自由に使用・収益・処分)する権利です。これは民法206条によるもので、私有財産制の基礎をなし所有権の絶対性とも呼ばれます。
(3)次の所有格は言語学によるもので、非対称な対象間における関係表現形式です。最も簡単な例は「私の本」となり、ここでの所有には所持・支配・制御の属性が伴い更に家族や人間関係などもその対象になります。
(4)表題括弧内に示す通り英語表現は背景や文脈により多様です。しかしこれらを具に読み解くと、「主格属格」に還元されます。所有格は英語の場合で一般形式は属格となり、対象物が誰に帰属するかです。
(5)ここまで述べれば「所有」の意義が明確になります。平たく言えば主語の関係性であり、私の位置づけ方でもあります。
(6)
扨、所有という概念はカール・マルクスの社会理論の中で厳密化されてきた概念です。類似語としてマックス・ヴェーバーによる専有(Appropriation)がありますが、両者は経済と宗教の社会階層的位置づけが丸反対でした。
(7)「誰が何を所有しているのか」。この関係性は社会成立の根本問題であり、熟慮に値すると考えます。

2.補足説明:
(1)本サイトのタイトルは『電脳経済学』であるけど、近年はほぼ中断状態です。何故なら経済問題は経済学内部では解決不可能です。つまり所有や世襲を巡り国家や法律が前提にあるからです。
(2)従って、今日では経済問題は対象分野が拡散して環境問題や生態系保全の部分系となりました。生命系や宇宙論と絡めると益々複雑化します。それ故にミクロ概念が要請されます。
(3)本サイトの中間的結論は①マクロ・ミクロ概念の整理、②ミクロとしての健康管理のあり方、③ミクロとしての宗教思想の再考、④量子系による意識の拡大、などです。
(4)なお、自身の身体は第一義的な所有の対象であり、この観点からbdt身体論は格別の位置づけとなります。
(5)更に付け加えれば、自身の身体が所有の対象であるとは、同時に何よりのshi2資本である事実でもあります。bdt身体論と絡む、この意味深長性に関しては別途取り上げます。

3.参考資料:
(1) 所有権(法律) (Wikipedia)
(2) 所有(言語学) 
(Wikipedia)
(3) コトバンク 所有とは
(4) 労働と所有の哲学 ジョン・ロックから現代へ 今村 健一郎 昭和堂