図b42 食物連鎖過程 |
生産者:植物は根から吸い上げた水と空気中の二酸化炭素を結合して炭水化物を合成します。このとき植物は自身の葉緑素を触媒として太陽エネルギーを固定すると同時に酸素を排出します。これは光合成作用として知られています。動物に食物を供給するという意味で植物は生産者と呼ばれます。
消費者:一方、動物は植物によって生産された炭水化物を食物としていますから消費者と称されます。この炭水化物が分解されるときにエネルギーが放出されますが、このとき酸素を取り入れると同時に水と二酸化炭素が排出されます。草食動物を餌とする肉食動物も間接的な消費者であります。
分解者:微生物は枯死した植物並びに動物の排泄物や死骸を餌にすることによって有機物を分解して、再び水と二酸化炭素の無機物に還元します。微生物はこうして植物に養分を供給する役割を果たしています。分解者としての微生物は物質循環への寄与が多大であり、地球環境問題との絡みで微生物生態の評価は必須とされています。ちなみに分解者は必ずしも微生物のみと限らずアリやミミズを始めとする小動物などもその働きにおいて分解者といえます。代謝モデルにおいて政府は自然の代行者として分解者の役割りを担いますが科学技術の進展に応じて分解は生産に解消され経済過程は再び生産と消費の二部門となります。
なお光合成の化学反応は次の仕組みで営まれています。
6CO2+12H2O+光エネルギー→C6H12O6+6O2+6H2O
代謝モデルは、経済過程の枠組みをこの食物連鎖過程に求め、企業・家計・政府からなる経済主体を生産・消費・分解の各系に対応させて組み立てたものです。なお食物連鎖過程は炭素分子を中心として循環が営まれるので炭素循環過程とも言われます。ちなみに生命体がこのように自身の維持・発展に必要なものを生物的環境あるいは無機的環境から摂取し、同時に不要になったものを環境に排出する働きは代謝と呼ばれます。代謝モデルの名称はこの同化異化作用が経済過程における投入産出関係に対応する点に着目して与えたものです。
次に生産・消費・分解の各系における内部機構をb50熱交換器の原理としてさらに各系相互の結合関係をb52経済要素の変換過程として提示します。これまでの熱力学並びに生態系を巡る冗長ともいえる準備的な説明は、前記2ページ(b50とb52)のみで一気呵成に3部門開放系の代謝モデルとして完結します。