電脳経済学v8> f用語集> fat 運命 (Fate; Destiny) (v8) (当初作成: 2016/10/23)

1.はじめに:
運命について考えてみます。広辞苑によれば「人間の意志にかかわりなく、身の上にめぐって来る吉凶禍福。それをもたらす人間の力を超えた作用。人生は天の命(めい)によって支配されているという思想に基づく。めぐりあわせ。転じて、将来のなりゆき。」となります。運命の用語は多分説明不要と考えられます。それをあえて用語集に加えた理由を下記に示します。いくらかでもご参考になれば何よりです。

2.説明/結論:
(1)運命の捉え方がその人の思想を形成しているのではないか?これが運命を用語集に追加した理由です。東洋思想は運命随順が基本をなし、これは受命思想とも呼びます。受命とは天の命令を受けて天子になる意味です。この論理を敷衍すれば支配体制が整います。随順とは逆らわずにおとなしく従うことです。西洋にも王権神授説があるので洋の東西を問わず時代によるとも言えます。いずれにしても肝心の「天」が定義されていない。無定義用語の展開は宗教であり、少なくとも自然科学の論理とは相いれない。一方、ある種の「諦め」も生きていくうえで肝心です。諦めとは矛盾の詮索断念を意味し無批判や判断中止と同義です。ここでの論点は東洋思想で言う運命随順は自然随順をも包摂する点です。東洋で自然科学が発展しなかった理由はこの運命論にあると考えますが如何でしょうか。
(2)運命には宿命と天命がある考えもあります。宿命は本人の力が及ばない定めです。天命は上記(1)にある通りです。したがって運命はその中間で本人の努力次第で獲得できる。つまり運命は克服可能とする立場です。努力とか克服への性向もまた宿命によるとする説もあります。つまりDNA次第で本人が知らないだけです。筆者自身もほぼこの考えで、努力してこのHPを管理しているとは思いません。その根拠を次に述べます。
(3)結論です。運命とは本人固有の自然を指す。「本人固有の」は固有方程式で表せる。しかしこの方程式は行列の変数が多すぎて定式化が極めて困難です。要諦は、その「本人もまた自然の一部」との認識です。つまり、解答は「(無為自然+有為自然)/2=運命自然」となる。これは荘子思想そのものです。数学的な検証結果は先人の知恵つまり歴史的な知見と一致する筈です。これは平明に「人間は為すべきをなし余計なことはしない」に徹するとなる。
(4)最後に蛇足として。 シェークスピアは「ものは考えようである。人生には幸福も不幸もない。考えようでどうにでもなるのだ」といっています。 「気の持ちよう」次第とは、つまり「解釈能力に応じて」の意味です。

3.参考資料:
(1) 運命 (Wilipedia)
(2) 固有方程式
(3) 幸福 (Wilipedia)、
(4) 幸福は自分でつかむもの(電脳経済学:自分学:2-4)