電脳経済学v7> f用語集> zhu 荘子 (Zhuang-zi) (v7) (⇒cho胡蝶の夢 ⇒cha渾沌 ⇒imn虚数
(当初作成:2010/10/05)(一部追加:2010/10/08 :2011/02/08 :2011/03/04 :2011/05/07 :2011/07/22 :2014/07/06 :5.(2)-2015/05/22 :1.(1)-2015/05/30)(cho胡蝶の夢から分離して改訂:2015/06/05 :2015/06/07、追記:2015/06/22)

1.梗 概:
(1)荘子は中国戦国時代の宋に現れた思想家荘周の敬称でありかつ彼の書名でもある。
(2)人物(推定BC369-BC286)の実在自体が確かでなく書物(「内篇1-7」「外篇8-22」「雑篇23-33」)も内篇の一部を除き大半が門弟の作とされる。
(3)このような史実の如何に拘らず荘子は老子とともに中国古代の道家思想を伝える不易の古典であり、今日的状況に鑑みてその本義は刮目に価する。
(4)荘子は初期道家の根本思想を寓話を用いて説きcho胡蝶の夢cha渾沌がよく知られ「知魚楽」もこの文脈に収まる。
(5)
自然哲学書としての荘子の根本思想は「万物斉同」において通底する。
(6)巧みな他者論を援用して荘子は「wu無為自然」の倫理を説く。不易の古典たる所以である。

2.内容説明:
(1)荘子思想は因循主義で貫徹され「万物斉同」として開示される。因循主義は自然回帰の絶対化を目指す故に時として否定的に捉えられる。この自然回帰の絶対化は時間的に遡源すればビッグバンに至り、これが「cha渾沌」であり「万物斉同」の真義である。空間的にも同様で、自己同一性に向けて同心円的に縮減すれば自分自身に至り、本サイトではこの収斂状態を人間原理と呼び、量子脳理論と絡ませる。蛇足ながら量子脳の世界では時空や生死は消滅する。(追記一部改訂 :2015/06/22 :2015/12/04)
(2)「万物尽く然りとして、而して是れを以て相い蘊む」(内篇 第二 斉物論篇 11節)も同じ文脈で、これはdrdデリダのいうウィウィつまり「万物肯定」に符合する。この無条件受容の態度を荘子はwu無為自然という。(本サイトではこれを”あるがまま”とも呼ぶ。追記 :2015/06/22)
(3)荘子の寓話は因果関係を巡る飛躍が過ぎて分かりにくい。荘子の説話は逆説真理が基調をなし、この論法は数学的にはipb逆問題に相当する。いま・ここ・私が現前であり、これは過去・他所・他者に対応する。つまり、主体と客体(対象)の関係が逆転する。spt時空あるいはimn虚数の論点に照らせば、荘子はランダムかつ一気呵成に量子脳理論に至る。この非日常性こそが超時空的な荘子の魅力とはいえ、論理や手順を踏まないので古今東西を見渡しても理解者は稀である。

3.総合考察:
(1)上記2.にある万物斉同と万物肯定の関係は図csm宇宙において▽Bと△Sの関係にそれぞれ対応する。<荘周=夢>=自我=主体と<蝶=現実>=万物=客体が渾然一体をなす胡蝶の夢の世界は正しく「梵我一如」/「存在と認識の一致」といえる。つまり図csm宇宙において順方向の点B→点Sは時間的進行(同時に空間的分化で▽B領域に対応)を表し、逆方向の点S→点Bは時間的遡源(同時に空間的縮減で△S領域に対応)を示す。ここで”主体は世界線/固有時として表現可能であり時間軸に実数をとれば空間軸は虚数となる”。さらなる詳細はspt時空に示す通りでこれはmk無記/沈黙に至る。
(2)一方、現前における自我と他我の非対称性は自明である。これに対するウィトゲンシュタインの結論は沈黙となる。lvnレヴィナスも倫理の根拠をこの他者性/顔に求めた。しかし現前性文脈からはレヴィナスの方がよりコント的である。両者は数学的にはトートロジーゲーデルの不完全性定理の関係になる。因みにカントの「定言命法」は道徳に対応し『永遠平和のために』はその行動規範に相当する。つまり矛盾や不条理に対する妥協としてウィトゲンシュタインは倫理的に沈黙による納得をカントは道徳的に啓蒙による説得を選んだ。かくなる究極理論もまたcha渾沌となる。

4.参考資料:
(1) 荘子 (Wikipedia)
(2) 胡蝶の夢 (Wikipedia)
(3) 哲学用語集
(4) デリダ用語集
(5) 人間原理用語集
(6) 『荘子』 [全4冊]   金谷 治 訳注 岩波書店
(7) 『入門 老荘思想』 湯浅 邦弘 ちくま新書1079
(8) 老荘と道教・仏教 『無為自然の思想』  森 三樹三郎 人文書院 (運命自然 p38)
(9) NHK 100分de名著 『荘子』 NHKテレビテキスト 2015年5月 玄侑 宗久 NHK出版
(10) 『嫌われる勇気』 自己啓発の源流「アドラー」の教え 岸見 一郎/古賀 史健 ダイヤモンド社
(11) 松岡正剛の千夜千冊 0726夜 『荘子』 荘子 金谷 治 訳注 岩波文庫1971
(12) YouTube 猫と月とサイコロ jstsciencechannel 科学技術振興機構