電脳経済学v3> f用語集> ka2 価格 (price)  2000年09月18日作成:2003年04月15日修正2004年07月19日追加修正

<1> 物の値打ちを金額で表したもの。
<2> 財(サービスを含む。)1単位と使用されている貨幣との交換比率。
<3> 商品価値の貨幣量による評価。

[説明]
(1) 価格とは値段のことで、上記<1>に示すように日常生活に密着した経済用語である。経済学辞典では上記<2>のように説明される。
(2)ある商品の価値が、ある時、ある場所で、ある貨幣単位で表現された数値を指す。価格は、商品の背後関係を構成する諸々の経済価値を巡る情報が集約されて提示される。これを上記<3>で言う商品価値の貨幣量による評価とし、その根拠は次の通りである。
@経済現象の枠組みと市場の位置づけ:代謝モデル
電脳経済学において経済過程の枠組みは「代謝モデル」により与えられる。代謝モデルは、変換系(生産系、消費系、分解系)、交換系(商品市場、労働市場、資源市場、廃物市場)並びに外部系エネルギー代謝系、情報蓄積系)からなる。ここで交換系のスキームは交換モデルによる。
A現行の経済系における枠組み:市場経済の仕組み
上記の前提となる現行経済モデルは「市場経済の仕組み」の通りとする。市場経済の仕組みにおいて物財の流れに逆行して貨幣の流れが認められる。この関係は代謝モデルでも援用されるが、負財である廃物は貨幣と順行する。現行の市場経済の仕組みは閉鎖系2部門モデルであり、これは開放系3部門モデルである代謝モデルへ拡張されるべきである。これが電脳経済学の基本的な主張である。
B交換モデル:市場の内実としての交換行為の説明
交換モデルの論旨は次のようになる。売り手と買い手の間における物財移動の内実は、所有関係の移転を通しての両経済主体間の情報交換にある。ここで交換過程における意思決定に際しては商品を巡る数量化された評価作業が決定的な意味を持つ。電脳経済学の特質は、価格現象をこのように情報交換に基づく評価作業のアウトカムつまり意識作用の文脈から捉える点にある。
C交換過程における意思決定:価格決定機構
需要関数と供給関数の交点において価格と数量が決定されるとする価格決定機構は概念装置として極めて明快である。しかし、この考え方は時間・空間・主体の概念が欠落しているので現実問題には適用できない。
D価格を巡る逆説的な注釈:コメント13
上記の価格決定機構は完全競争ないし完全情報を前提に成立する架空理論である。瞬時たりとも静止不可能な現実の市場では需要量と供給量の一致点において価格が決定されることはない。さらに市場価格は交換価値に基づくもので経済行為の本来目的である使用価値とは異質な動機で決定される。つまり市場はこの時間、空間、制度、所得、情報などの矛盾や差異の摘出同定装置といえる。