電脳経済学v6> f用語集> sit 状況(=情況) (Situation/ Circumstance)  (当初作成: 2011/10/01)

1.梗 概:
(1) @ 特定の主体を巡るその場のまたはその時の有様。ある人を取りまく社会的・精神的・自然的な在り方のすべてをいう。様子。情勢。環境。事態。 A 移り変る物事の、その時々の有様。 B 様々に変化する物事の、その時々の様子。 C心理的状況を含んだ本当の姿を指すので、情況は「情勢・内情・実情・敵情」などの意味あいを込めて軍隊関係で好まれた。「−が一変する」「−を把握する」「−を見極める」「周囲の−」(広辞苑、大辞泉、明鏡などから編集) D状況と情況は意味・用法に違いはないが昭和56年法令用語改正に伴い「状況」に統一された。以来状況が多く用いられている。(新漢語林)
(2)熟語として【状況分析】【状況判断】【状況証拠】【状況倫理[4.(2) p768]】状況意味論[4.(2) p769]など。
(3) 古くはアリストテレス範疇の一つである「位置」がこれに相当するが、20世紀の実存哲学、特にサルトルの思想において重要な概念となった[4.(1) p707]。特定の時と環境における人間存在の具体的な全体的関係をいう。状況は環境が人間存在の行動を束縛する面と人間存在が環境を変えていこうとする自由との面から構成される。(ブリタニカ国際大百科事典)

2.論点説明:
(1) 「状況」は日常用語として人口に膾炙していて特に説明を要しない。にも拘らず急遽取り上げた理由は2011年9月26日に東京地裁で裁判長が「状況証拠」に基づき有罪判決を言い渡したからである。ここに状況証拠とは「背景事情」「説明の合理性」「不自然さ」などを巡る「裁判官の『状況』認識」を指す。なお、ここでの論点は「『状況』の文脈ないし用語法」にあり、判決や証拠の是非ではないので誤解のないように。
(2) 時間の節約のために下記結論を踏まえてバックキャストにより簡潔に説明を加える。つまりWhy-Because反復の構図において、最初の説明で理解できればそれ以降は蛇足となる。
@ 「re歴史」にあるように歴史は「事実」と「解釈」から成り立つ。「sit状況」は歴史の中から取り出した特定の命題を巡る当事者の解釈に相当する。この文脈において状況は判断とも同義になる。(下記3.(5)参照)
A 「rcp総括」にあるように総括された歴史は「mk無記」となる。これには下記Bの条件が必要である。
B この条件とは「whWH疑問文」により整序を与えられた考察の対象範囲(Scope)を指す。@との差異は完結性にある。
C 「etc倫理」は上記の全過程を主導する。ここで図etcに示す倫理と論理の関係並びにミクロとマクロの文脈は意味深長である。

3.暫定結論:
(1) 状況/解釈/判断は主体による認識から現れる。
(2) 主体による認識において倫理意識は決定的である。
(3) 主観的に導出される倫理意識は同時に客観的説得性をもって検証される必要がある。
(4) ここで状況認識を巡る主客合一領域が社会意識に他ならない。(蛇足ながら:説明の合理性/客観性は真実/真理と同義になる。「万物斉同」では何でも同義となる。)
(5) 上記は「判断」として要約できる。さらに判断はその根拠により「人治」か「法治」かとなる。

4.参考資料:
(1) 『哲学事典』 林 達夫ほか監修 平凡社 p707
(2) 『岩波哲学・思想事典』 廣松 渉ほか編 岩波書店 p768 &
p769