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虚数(imaginary number) (⇒zhu荘子 ⇒cho胡蝶の夢 ⇒cha渾沌)
(当初作成:2015/02/25)(一部修正追加:2015/02/28;
2015/03/03;
2015/04/22; 4.修正追加:2015/07/01;
2015/07/10;
2015/10/16)
↑表1 数の分類 (p19) |
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↑図1 数直線[1次元] (p20) |
↑図2 複素平面(ガウス平面)[2次元] (p21) |
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出所:下記の4.参考資料(5) で括弧内はその該当ページ;筆者の責任で一部修正や追加もある。 |
1.梗 概:
(1)自然数から複素数へ(表1参照)
(2)数直線と実数(図1参照)
(3)虚数と複素平面(図2参照)(4.参考資料(6)-2 参照)
(4)回転演算子の考え方(図3参照)(4.参考資料(5) p175索引を参照)
(5)単位円と座標形式(図4参照)
(6)オイラーの公式(図5参照)(図3参照)
(7)虚数と量子力学(4.参考資料(5) p130)(4.参考資料(15) p18, p46)
(8)常識的世界観の再考(4.参考資料(9) 「量子力学から導かれた『不可解な現実』の例」を参照)
2.論点説明:
(1)自然数から複素数へ:(表1参照)
数を対象とする算数や数学が自然数1,2,3,4…から出発するのは将に自然である。従来は10進法が一般的な記数法であったけど、コンピュータの導入により2進法にも出番が巡ってきた。2進法は身近な順序体であるが左右には大小関係がない。同様に方向や複素数(従って虚数)も順序体ではない。数の発展は「数の分類」(表1参照)に示す過程を辿った。つまり虚数の導入により実数の拡張として複素数が定義される。座標軸の基準は原点Oにある点に注意を要する。この文脈から自然数は0,1,2,3,…とする数学者も多い。
(2)実数と数直線:(図1参照)
実数は「数直線」(図1参照)と呼ばれる無限の線として表現できる。つまり、すべての実数は1次元で示される数直線上の点に対応する。数直線は原点0を中心にして、右側がプラス(正)、左側がマイナス(負)の値を表す。実数が順序体である点を数直線を通して再度確認したい。
(3)虚数と複素平面:(図2参照)(4.参考資料(6)-2 参照)
この数直線で表される実(数)軸に対し原点で直交する直線を描きこれを虚(数)軸とする。このようにx軸に実軸をy軸に虚軸をとる座標系を「複素平面」あるいはガウス平面と呼ぶ。(図2参照) [因みに両軸とも実軸の座標系は「直交座標系」あるいはデカルト座標(デカルト平面と同義)と呼ぶ。] 複素平面における虚軸の場合は、原点を中心に上方がプラス、下方がマイナスの値を表す。つまり実数は1次元の直線で複素数は2次元の平面で図示できる。この実数から複素数への拡張は意味深長である。何故なら実数は実在するが虚数は想像上の数で人間の五感で感知できない。本ページではこれを順序体か否かで識別している。虚数が孕むこの摩訶不思議な性質に理解が及べば一気呵成に上記1.(8)への道筋が開ける。
虚数はan imaginary numberと呼ぶように想像上の数字であるのでimage(心に描いた像; 図形、印象、概念等を意味する。)による方が理解しやすい。この文脈並びに次に述べる回転演算子との絡みから戸上良弘教授のサイトにおける虚数の説明は示唆に富む。
(4)回転演算子の考え方:(図3参照)
複素平面の原点を中心にして実軸並びに虚軸の4方向に着目すると虚数iの掛け算がπ/2(直角)の方向軸回転に対応する。したがって「回転演算子の考え方」(図3参照)に示すように虚数は回転演算子の性格も併せ備える。つまり虚数は単なる数から回転を行う演算子へと発展した。なお演算子とは計算行為を表す記号を指し、詳細は4.参考資料(4)p95を参照されたい。ここで回転演算子とは乗算記号xと虚数iの積xiと理解してよい。このxiの関係を次に示す。1xi=i、
i xi=-1、-1xi=-i、-i xi=1 (演算対象x回転演算子=演算結果となり、その結果は図3に示す通りである。) なお回転演算子については4.参考資料(5)
p175索引から接近できる。図表の引用と併せてこの場で著者に厚く謝意を表したい。
(4)-2 回転演算子の考え方(その2):
複素数による虚数の説明。(出所:4.参考資料(6) のruto氏による回答を引用して筆者の責任で一部修正
)
(5)
単位円と座標形式:(図4参照)
半径 1の円を「単位円」(図4参照)と呼ぶ。ここで円上の点(x,y)は(cosθ, sinθ)として与えられる。x軸と円上の点が原点0を挟んでなす角度θ(argument)は偏角、傾角、回転角ともいう。単位円において角度θの増加は反時計廻りの回転に相当する。「複素平面上の単位円」(図5参照)の場合には円上の点(a,
b)は(cosθ, isinθ)となり、これは次項に述べる「オイラーの公式」の図的表現に相当する。複素平面上の単位円を一般化して任意の半径r (modulus)をとれば複素数は極形式(極座標ともいう)としても表現できる。なおピタゴラスの定理並びに三角関数との関係はspt時空(図spt-1単位円)に図示している。spt時空の結論は空間は虚数とする主張でその実在化が脳内現象となる。
(6)オイラーの公式:(図5参照)(図3参照)
オイラーの公式はe^iθ=cosθ+ isinθで与えられる。e(=2.718…)は自然対数の底でネイピア数ともいう。これは前述の通り複素平面上の単位円(図5参照)として図示できる。指数関数においてe^i(p+q)=e^ip
x e^iqが成立しθの加算が単位円に沿った回転に対応する。この関係は上記(4)に示す通りである。(複素空間におけるオイラーの公式と波動関数を巡る図的表現は⇒とね日記:パラレルワールド…)
(7)虚数と量子力学:
量子力学の誕生は20世紀物理学最大の成果といわれる。同時に量子力学ほど分かりにくい学問もなく「量子力学を本当に理解できる人間などいない」と物理学の泰斗Feynman教授は明言している。理解できない人間の一人としてそれは何故かと自問すれば「虚数」が躓きの石ではと思う。量子力学の基礎方程式はシュレーディンガー方程式で与えられる。その波動関数ψは前出のオイラーの公式におけるθがパラメータとなる。(例えば4.参考資料
(9) 追記を参照) なお、さらなる詳細は4.参考資料(5)p130や(15) p18, p46を参照願いたい。
(8)常識的世界観の再考:
酔歩状態ながらやっとゴールに達した。それは4.参考資料(9)に「量子力学から導かれた『不可解な現実』の例」として提示されている。具体的な事例としてはEPR相関(非局所的量子もつれによる因果律の破綻)や観測問題(波動関数の収縮に絡む立場の相違から現在の行為が過去の状態を変化させる問題など)がある。これらは畢竟するに各人の解釈能力に対応した脳内現象の現れとなる。端的には存在論の認識論化を指す。蛇足ながらspt時空は相対論からの接近事例を示す。
3.−欠番−
4.参考資料:
(1) 虚数 (Wikipedia)
(2) Newton
別冊 『”魔法の数”虚数』 ニュートンプレス
(3) 『虚数の情緒』 中学生からの全方位独学法 吉田
武 東海大学出版会
(4) 新装版
『オイラーの贈物』 人類の至宝eiπ=-1を学ぶ 吉田 武 東海大学出版会⇒とね日記:名著復刊
(4)-2 人類の至宝・オイラーの公式 虚数・複素数の世界 ド・モアブルの定理 synchronature (追加:
2015/12/14)
(5) 『なるほど虚数』
―理工系数学入門― 村上
雅人 海鳴社
(6) 教えて!goo 虚数とは結局なんですか
(6)-2 アタリマエ!虚数とは何か?複素数とは何か?が一気に分かりやすくなる記事 tooda (追加:
2015/10/16)
(7) 大学生にきちんと虚数を教えよう 飯高
茂 (.pdf)
(8) 虚数は存在するか? なぜ虚数単位iの2乗は-1になるのか? 量子力学 x_seek
(K. Sugiyama) 下記(23)も参照
(8)-2 虚数や複素数の存在に納得する、もう一つの説明: OGATA Tetsujiの数学ブログ (追加:
2015/12/14)
(9) 虚数は私たちの世界観を変えてしまった。 (同左Google検索) −とね日記−
(9)-2 量子力学は世界を記述できるか:佐藤
文隆 −とね日記−
(10) アインシュタインの科学と生涯
KM
(11) EMANの物理学 広江 克彦
(12) 物理学喫茶室 Cimarosa
福士 和之
(13) 量子力学
(Wikipedia)、量子力学(Wikibooks)
(14) Newton
別冊 『よくわかる決定版 量子論第3版』 ニュートンプレス
(15) 『量子化学』
濱田 嘉昭・大野 公一 放送大学教育振興会
(15)-2 『量子力学入門−現代科学のミステリー−』 並木
美喜雄 岩波新書 210 (追加:
2015/12/22)
(16) 『よくわかる最新量子論の基本と仕組み』 竹内
薫 秀和システム
(16)-2 朝日おとなの学びなおし![物理学]
『宇宙・物質のはじまりがわかる量子力学』 広瀬
立成 朝日新聞出版 (追加:
2015/11/12)
(17) 『量子力学が見る見るわかる』 摩訶不思議な世界を読み解く76項 橋元
淳一郎 サンマーク出版
(17)-2 『マンガでわかる量子力学』 川端 潔・石川 憲二・柊 ゆたか/ウェルテ Ohmsha
(18) 数学者のための量子力学入門 九州大学大学院
数理学研究院 原 隆
(19) 『現代思想
2007/12』 量子力学の最前線―情報・脳・宇宙 青土社
(19)-2 『量子力学のイデオロギー
1997・201106』 増補新版 佐藤 文隆 青土社
(20) 量子論/量子力学……その最前線 by
南堂久史
(21)
YouTube 猫と月とサイコロ jstsciencechanel 科学技術振興機構
(21)-2 You
Tube 国際物理年関係 (2)新たな扉を拓いた人々−量子力 学の歴史− jstsciencechanel 科学技術振興機構
(21)-3 You
Tube 宇宙 〜時空超越の旅〜 3 4 量子力学で見る「現実」 Dorothea Cuellar
(22) 量子力学とは ニコニコ大百科
(23) 量子論の不思議な世界 x_seek
(K.
Sugiyama) 虚数は存在するか? 上記(8)も参照
(24) 量子力学が創り出す不思議な世界―量子テレポーテーション!―
外山
政文
(25) 30分で分かる
量子力学の世界 Creative Brains
(26) 量子力学を応用した未来のマーケティングシステム「Scanamind」 WIRED
(26)-2 調査票のいらない調査 「Scanamind」Vol.
1 GMO RESEARCH 綾戸 恒男
(27) 日経サイエンス
『別冊199 量子の逆説』
(28) 日経サイエンス2013年7月号「特集:量子の地平線」
(29) togetter
量子力学に関連する42件のまとめ
(29)-2 認識論的な量子力学についてのコメント
(30) togetter
「量子力学ってどうも騙されているようで納得できない」人のための量子力学入門連ツイ 古田 彩
(31) 量子の世界−物理的世界の不思議− 名古屋大学大学院 上羽
牧夫 (pdf)
(32) 死後の世界を突きとめた量子力学 コンノ ケンイチ
(33) 『新版 量子論の基礎―その本質のやさしい理解のために』 清水 明 サイエンス社
(34) UT Physics・1 『ものの大きさ』 自然の階層・宇宙の階層 須藤 靖 東京大学出版会
(35) 量子力学 岡部 洋一
(36) 対話原理小論−感性にもとづく量子力学の解釈と新しい自然観− 立命館大学理工学部 山田廣成 (pdf)
(37) 数学Tips 複素関数の等角写像と流体力学への応用例 KENZOU (pdf)
(38) 線形代数U/固有値問題・固有空間・スペクトル分解 量子力学T 筑波大 竹内 修
(38)-2 YouTube 初めての量子化学
10. 演算子・固有値・固有関数 (前半) 阿部 穣里; 同(後半) (追加:
2015/10/30)
(39) 『身につく シュレーディンガー方程式』 牟田 淳 技術評論社
(39)-2 YouTube 初めての量子化学
12. シュレディンガー方程式の導出 阿部 穣里 (追加:
2015/10/30)
(39)-3 シュレディンガー方程式 波動関数・ハミルトニアン演算子 synchronature (追加:
2015/12/14)
(40) 『数学する身体』 森田 真生 新潮社