電脳経済学v7> f用語集> cha 渾沌 (chaos) (v7) (⇒zhu荘子 ⇒cho胡蝶の夢 ⇒imn虚数
(当初作成:2015/05/27)(改訂追加:2015/09/23: 2015/10/02: 2.(6) 2015/12/02: 2.(1) 2017/02/22)

1.梗 概:
(1)渾沌は通常「混沌」と表記され次のように「秩序」の対義概念を表す。
@天地開闢の初め、天地のまだ分かれなかった状態。(広辞苑)
A物事の区別・なりゆきのはっきりしないさま。「事態は−として予断を許さない」「−たる政局」(広辞苑)
Bすべてが入り混じって区別がつかないさま。「−たる政治情勢」「人選は−としている」(大辞泉)
(2)上記(1)の文脈を踏まえたうえで、敢えて「渾沌」を取り上げる。その理由は、「zhu荘子」とqu量子論の絡みを同定するためである。加えて試論的に「観測問題」をipb逆問題として捉える。

(3)渾沌は『荘子』を理解するに際して鍵概念となる。何故なら、kntカントにおける超越論的用語法/アプリオリ論点は荘子のいう「渾沌」に相当すると考えるからである。これは短く『事実から認識へ』ともいえる。
(4)中国神話の怪物が渾沌の出自である。渾沌が感覚器官を得て秩序/知恵にいたる道筋は旧約聖書の創世記に対応する。両者は共に文明化/進歩史観に対する強烈な陰喩である。

ここで留意すべきは荘子では秩序化の結果として渾沌が死ぬのに対して創世記では一週間で秩序化が形成される。つまり、荘子は渾沌を自然状態として理想化し、一方の創世記は秩序化過程に価値を見出し、両者の論点は真逆となる。(追記:2017/02/22)
(5) 渾沌は秩序の対義語であり万物斉同あるいはwu無為自然と同義となる。本サイトにおけるibb情報ビッグバンあるいはap人間原理も到達点は同じで説明の経路が違うだけである。

2.考察/説明:
(1)基本的に『荘子』は説話集であり、cho胡蝶の夢と共に渾沌もその代表例である。つまり考察/説明よりむしろ解釈が問われるので聖書や仏典と同様に読み返しを重ねて理解を深める外ない。数学的な掘り下げから接近する事例としてimn虚数を挙げた。
何故なら数学は「必然性と普遍性」により勝手な解釈を防いでくれるからである。ちなみに、kntカントは「必然性と普遍性」をアプリオリの本質的属性とした。(上記1.(3)参照)(追記:2017/02/22)
(2)秩序と渾沌の混在は量子論における「シュレーディンガーの猫」に対比できる。混在とは存在確率を指す。ここで秩序化は量子脳によって担われるので優れて個人の内部意識問題となる。
(3)渾沌は夢としても捉えることができる。ここで夢は無意識の現実態であり時空の桎梏からの解放を意味する。蛇足ながら整序化された夢は正夢として現れ、これは量子脳の最終形態といえる。なお、正夢は意識野に現れる時間逆行現象であるが永くは続かない。(一部追記:2015/10/02)
(4)さらに加えれば、意識は作用であり認識は状態である点に留意すべきである。認識は意識によって形成される、と同時に意識は認識の産物である。この相互関係のもとで、作為の及ぶ範囲は意識作用から現れる意志により決まる。(3)(4)ともに「etc倫理」が決定的な要因となる。
(追記:2015/10/02)
(5)渾沌については下記3.(6)に論点が平明に表現されている。渾沌に始まり秩序を経て再び渾沌に至る経路積分の認識文脈が渾沌の本義と理解したい。(追記:2015/10/02)
(6)世界の現状を秩序化の文脈から捉えるかあるいは「渾沌」状態と見るか、今この現実認識が問われる。具体的な事例としてパリ同時多発テロ事件」を巡る見解がある。この世界において誰もが夫々の立場から自身を正当化したい。ここでは冷静に歴史文脈のみならず量子哲学(例えば観測問題)を踏まえた再考察が求められる。(追記:2015/12/02)

3.参考資料:
(1) 渾沌 (Wikipedia)
(2) NHK 100分de名著 『荘子』 NHKテレビテキスト 2015年5月 玄侑 宗久 NHK出版
(3) 渾沌七に死す 漢字家族
(4)
渾沌 カエデともみじ 林田
(5) 松岡正剛の千夜千冊 0828夜 『創造的人間』 湯川 秀樹 筑摩叢書1966
(6)
第四回【レゴで悟りを開く(?)】−You Tube FMP LABO 和田 曽良